ギターの柄で窓ガラスを大破させてしまいました

mado_hason

私の青春時代にバンドブームがうねっていた。私は某バンドの大ファンで、大好きすぎてそのバンドマンのようになりたいと、16歳の誕生日にギターを買ってもらった。楽譜も読めないし、コードもわからないし、挙句の果てに音楽も苦手と、ギターとは一番遠い場所にいた私が無理やりギターを持ってしまった。そんな無茶なひずみが、大事件を起こしてしまったのである。
当時その某バンドと言えば、メンバーたちが楽器をガンガン壊した挙句気絶するみたいなめちゃくちゃな感じで、とりあえず音楽のわからない私は、そんなめちゃくちゃな感じなら真似できるかもしれないと、自分の部屋の中で弦をメチャクチャにかき回しながら暴れてみた。音もめちゃくちゃなら私もめちゃくちゃ。だけど真面目一筋でやってきた私にとって、こんなめちゃくちゃはそれまで経験したことのないものだった。そしてそのめちゃくちゃな感じは、だんだん私に快感をもたらした。
(参考:頑丈なガラスほど予想外の衝撃で簡単に大破することもある

もしかしたらその某バンドのメンバーたちの気持ちってこんな感じかも…お金がないからライブとかには行ったことはないけれど、ライブ会場内の雰囲気ってきっとこんな感じに違いない。そのとき、何だかものすごくハイになって、何故か思わずギターを投げてしまったのである。その途端、「ガシャーン」というものすごい音とともに、部屋のガラスが大破してしまった。一気に夢から醒めた私は、真っ青になった。両親はちょうど留守だったけれど、こんなことがバレたら大目玉を食らうだろう。何とか証拠隠蔽しようと思ったけれど…根っからの真面目さもあり、私は帰宅した両親に全てを白状したのだった。もちろん大目玉を食らったし、ギターは没収されてしまった。
私の青春の一ページは、音楽知らないのに調子に乗った挙句窓ガラスを大破させちゃったという、何とも苦いものになったのだった。